「ここの農作物はどうなっちまったんだろうな。」などと考えながら車を走らせていると、そこに「いちご直売」の看板がかかった1軒の農家があった。
そこは普通の農家の家で、おばあさんが店番をしていた。
「津波どうでした?」と聞くと、その辺は海沿いに松林があったおかげで、かなり助かったとのこと。
それでも、この農家のハウスがあるすぐ下まで津波が来て、この家のハウスは助かったが、その下にあった別の農家のハウスは流されてしまったしまったらしい。
こだわって作っているイチゴ(とちおとめ)は、以前は京都の料亭からも注文があったが、震災以降は原発の影響でキャンセルになってしまったとのこと。
ここのイチゴ、甘くておいしい。
4パック買って自宅に郵送してもらうことにした。
実は、今回の旅では、車の中にりんご(サンふじ)を40Kほど積み込んでいた。
レジ袋に小分けしたりんごを「これ食べてくださいな」と渡すと、おばあさんはとても喜んで、「じゃぁ、これは車の中で食べてね。」と別にイチゴをひとパックいただいたのだった。

後日送られてきたイチゴの中には、おばあさんからの手紙も入っていた。

(つづく)
